「I/O」の40周年を記念し、「I/O」を支えてくれているライター諸氏に、「お勧めの一冊」「思い入れのある一冊」を紹介してもらいました。


ハッカーズ

■工学社 ■スティーブン・レビー著/古橋芳恵 松田信子 共訳■A5判・624頁 ■2500円

 「ハッカー」という言葉は「PCで悪事を働く人」と誤解されることが多く、その意味で「ハッカーのしわざですね」とか言う人を見るにつれ忸怩(じくじ)たる思いを抱えることがしばしば。
 「ハッカーズ」は、具体的な「ハックする人々」の詳細が書かれていて、真の「ハッカー」の意味を定義づけるという功績を残した書籍です。
 また、コンピュータ黎明期を紐(ひも)解く、優れたコンピュータの歴史書でもあります。
 個人的には「コンピュータのバイブル」と位置づけています。
本間 一

ハッカーズ
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スティーブン・レビー 松田 信子 古橋 芳恵
工学社
売り上げランキング: 127,585




やさしい人物画

■マール社 ■A.ルーミス著/北村孝一 訳 ■B5判・198頁 ■1800円

 キャラクターを描く上で、大変お世話になったのがこの本です。
 デフォルメされたキャラクターでも、説得力のある身体を描くには、最低限、「骨格」や「筋肉」などの知識が必要であることは、「アナログ」「CG」「2D」「3D」で共通だと思います。
 また、男女や大人と子供の、顔や体のバランスの違いなどにも触れている部分があり、キャラクターの描き分けに、とても参考になります。
キャラクターイラストを描く方にお勧め。
加茂恵美子(ぽん)

やさしい人物画
やさしい人物画
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A・ルーミス
マール社
売り上げランキング: 2,550



太陽の黄金(きん)の林檎

■早川書房 ■レイ・ブラッドベリ著/小笠原豊樹 訳 ■文庫判・397頁 ■940円

 「霧笛」をはじめとする短編の文学性はもちろん、空恐ろしいほど的中した未来予想の数々にも注目です。
 「歩行者」には、無人の「自動運転パトカー」が登場し、人々はディスプレイの前で娯楽から観光まですませて、誰も外を歩きません。
 「人殺し」には、「AI」を搭載した「喋る家電」や、ドアといった「IoT」と、「Twitter」や「Line」そっくりの四六時中のコミュニケーション環境が描かれます。

 シェイクスピアやイェイツの引用を交え、詩情あふれる文体で綴られた本作品は、刊行から60年経ったいま、示唆に富む預言書としても、改めて読んでほしい。
arutanga

太陽の黄金(きん)の林檎〔新装版〕 (ハヤカワ文庫SF)
レイ ブラッドベリ
早川書房
売り上げランキング: 209,185



MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

■NHK出版 ■クリス・アンダーソン著/関美和 訳 ■四六判・320頁 ■1900円

 「WIRED(ワイアード)」編集長を勤めたクリス・アンダーソン氏は、数々の先見性のある著書を執筆する希有な存在です。
 本書では「3Dプリンタ」や「インターネット」がもたらす新しいモノ作り、個人でもやっていけるように変化したモノ作りビジネスを紹介。新しい時代を予見しています。
 クリス氏の祖父が時計技術者で、「自分自身で発明した製品でどう利益を得たか」「それが現代ではどう変わるか」などを紹介しているのがリアルです。
 起業家を目指す技術者なら、ぜひ読んでおきたい一冊。
一条 真人

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
クリス・アンダーソン
NHK出版
売り上げランキング: 20,331



バグがないプログラムのつくり方 ~JavaとEclipseで学ぶTDDテスト駆動開発~

■翔泳社 ■倉貫義人 兒玉督司 川端光義 著/長瀬嘉秀 監修 ■B5変型判・336頁■2800円

 「テスト駆動開発」とは、「プログラムを作ってから細部をテストしていく」という従来の考え方の逆をいく開発法。
 たった一行のメソッドから始まって、書き加えるたびにテストをしながら、大きなプログラムを築き上げていきます。
 「タイプミス」「ヌルポインタ例外」などを、膨大なコードに埋もれる前にその場で見つけていきます。
 また、「JUnit」など、「テストツール」の使い方を知りたい人にもお勧め。
 この本で、「テストツール」がより身近になるでしょう。
清水 美樹

バグがないプログラムのつくり方 JavaとEclipseで学ぶTDDテスト駆動開発 (Be agile!)
川端 光義 倉貫 義人 兒玉 督司
翔泳社
売り上げランキング: 72,586



AVRマイコン・リファレンス・ブック

■CQ出版 ■山根彰 ■B5変型判・344頁 ■3200円

 「Arduino」を知るよりも以前に、「AVRマイコン」シリーズを使ってみようと思ったきっかけの本。
 Atmel社「AT-MEGA」「AT-TINY」シリーズのCPUコアや、内蔵ペリフェラルについて、詳しく解説。
 また、「Arduino」は、ライブラリが用意されている機能なら、とても簡単に利用できますが、ライブラリが用意されていない機能や、ライブラリの限界を超えた使い方をしたい場合もあります。その際、ArduinoのCPUチップ内部の知識が必要になりますが、この本の知識がとても役に立ちました。
nekosan




定本 トランジスタ回路の設計

■CQ出版 ■鈴木雅臣 ■A5判・324頁 ■2136円

 「トランジスタ」には増幅する機能があると言われますが、どのような仕組みで、どのように接続すると増幅するのかは、実際に試してみないと分からないところがあります。
 多くの電子工学の本は、これらの現象を数式や理屈で説明してしまうため、直感的に分かりやすいとは思えませんでした。
 この本では、基本的な回路とオシロスコープによるグラフによって、定年で柔らかい文体で解説が書かれています。
 「トランジスタ」は電子回路の基本原理のひとつです。
 電子工作を行なう上でも、これらのアナログ的な仕組みを知ることは大きな強みになり、その基礎を楽しく学べる一冊です。
某吉




脳をつくる―ロボット作りから生命を考える―

■共立出版 ■中野馨■A5判・248頁 ■3500円

 「ニューロ・コンピュータ」や「パーセプトロン」を中心に、知能を与える技術をまとめた入門書。
 本書の素晴らしい点は、難しくならない範囲で、動作の仕組みを数式や図で説明しており、読んでいて腑に落ちること。
 また、その理論を利用した実例も紹介。
 この本が発刊されたのは1995年。いまから20年以上も前ですが、内容は、まったく陳腐化していません。
 古い本なので、残念ながら入手は困難ですが、もし図書館などで見掛けたら、ぜひ読んでみてください。
 「ロボット」や「センサ」「学習装置」を作ってみたい人にとっては、いい実装アイデア集にもなるはずです。
大澤 文孝

脳をつくる―ロボット作りから生命を考える
中野 馨
共立出版
売り上げランキング: 653,871



こんなもんいかがっすかぁ まるごと!

■復刊ドットコム ■水玉螢之丞 ■B5変型判・256頁 ■3200円

 「こんなもんいかがっすかぁ」は、イラストレーターの水玉螢之丞さんがパソコン情報誌「EYE-COM」にて1990年ごろに連載していたイラストエッセイ。
 パソコンがヲタ…もとい熱心なユーザーの趣味のシロモノだった時代、彼女の描くポップで可愛いキャラクターが繰り広げるディープなパソコンネタ、そのギャップにとても惹きつけられました。
 当時を知る人には“クスッ”とくるネタが満載です。
 同連載は1992年および94年に書籍化されたものの長らく絶版状態でしたが、今年復刊され、入手が簡単になりました。
 94年版では省かれた初期作品や、多数の雑誌掲載イラストを新規収録しており、まさに「まるごと!」な一冊となっています。
Ka2DA

こんなもんいかがっすかぁ まるごと!
水玉 螢之丞
復刊ドットコム (2016-02-16)
売り上げランキング: 81,059



ライターが選ぶお勧めの一冊

「I/O」の40周年を記念し、「I/O」を支えてくれているライター諸氏に、「お勧めの一冊」「思い入れのある一冊」を紹介してもらいました。


ハッカーズ

■工学社 ■スティーブン・レビー著/古橋芳恵 松田信子 共訳■A5判・624頁 ■2500円

 「ハッカー」という言葉は「PCで悪事を働く人」と誤解されることが多く、その意味で「ハッカーのしわざですね」とか言う人を見るにつれ忸怩(じくじ)たる思いを抱えることがしばしば。
 「ハッカーズ」は、具体的な「ハックする人々」の詳細が書かれていて、真の「ハッカー」の意味を定義づけるという功績を残した書籍です。
 また、コンピュータ黎明期を紐(ひも)解く、優れたコンピュータの歴史書でもあります。
 個人的には「コンピュータのバイブル」と位置づけています。
本間 一

ハッカーズ
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やさしい人物画

■マール社 ■A.ルーミス著/北村孝一 訳 ■B5判・198頁 ■1800円

 キャラクターを描く上で、大変お世話になったのがこの本です。
 デフォルメされたキャラクターでも、説得力のある身体を描くには、最低限、「骨格」や「筋肉」などの知識が必要であることは、「アナログ」「CG」「2D」「3D」で共通だと思います。
 また、男女や大人と子供の、顔や体のバランスの違いなどにも触れている部分があり、キャラクターの描き分けに、とても参考になります。
キャラクターイラストを描く方にお勧め。
加茂恵美子(ぽん)

やさしい人物画
やさしい人物画
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A・ルーミス
マール社
売り上げランキング: 2,550



太陽の黄金(きん)の林檎

■早川書房 ■レイ・ブラッドベリ著/小笠原豊樹 訳 ■文庫判・397頁 ■940円

 「霧笛」をはじめとする短編の文学性はもちろん、空恐ろしいほど的中した未来予想の数々にも注目です。
 「歩行者」には、無人の「自動運転パトカー」が登場し、人々はディスプレイの前で娯楽から観光まですませて、誰も外を歩きません。
 「人殺し」には、「AI」を搭載した「喋る家電」や、ドアといった「IoT」と、「Twitter」や「Line」そっくりの四六時中のコミュニケーション環境が描かれます。

 シェイクスピアやイェイツの引用を交え、詩情あふれる文体で綴られた本作品は、刊行から60年経ったいま、示唆に富む預言書としても、改めて読んでほしい。
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太陽の黄金(きん)の林檎〔新装版〕 (ハヤカワ文庫SF)
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MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

■NHK出版 ■クリス・アンダーソン著/関美和 訳 ■四六判・320頁 ■1900円

 「WIRED(ワイアード)」編集長を勤めたクリス・アンダーソン氏は、数々の先見性のある著書を執筆する希有な存在です。
 本書では「3Dプリンタ」や「インターネット」がもたらす新しいモノ作り、個人でもやっていけるように変化したモノ作りビジネスを紹介。新しい時代を予見しています。
 クリス氏の祖父が時計技術者で、「自分自身で発明した製品でどう利益を得たか」「それが現代ではどう変わるか」などを紹介しているのがリアルです。
 起業家を目指す技術者なら、ぜひ読んでおきたい一冊。
一条 真人

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
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バグがないプログラムのつくり方 ~JavaとEclipseで学ぶTDDテスト駆動開発~

■翔泳社 ■倉貫義人 兒玉督司 川端光義 著/長瀬嘉秀 監修 ■B5変型判・336頁■2800円

 「テスト駆動開発」とは、「プログラムを作ってから細部をテストしていく」という従来の考え方の逆をいく開発法。
 たった一行のメソッドから始まって、書き加えるたびにテストをしながら、大きなプログラムを築き上げていきます。
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バグがないプログラムのつくり方 JavaとEclipseで学ぶTDDテスト駆動開発 (Be agile!)
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AVRマイコン・リファレンス・ブック

■CQ出版 ■山根彰 ■B5変型判・344頁 ■3200円

 「Arduino」を知るよりも以前に、「AVRマイコン」シリーズを使ってみようと思ったきっかけの本。
 Atmel社「AT-MEGA」「AT-TINY」シリーズのCPUコアや、内蔵ペリフェラルについて、詳しく解説。
 また、「Arduino」は、ライブラリが用意されている機能なら、とても簡単に利用できますが、ライブラリが用意されていない機能や、ライブラリの限界を超えた使い方をしたい場合もあります。その際、ArduinoのCPUチップ内部の知識が必要になりますが、この本の知識がとても役に立ちました。
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定本 トランジスタ回路の設計

■CQ出版 ■鈴木雅臣 ■A5判・324頁 ■2136円

 「トランジスタ」には増幅する機能があると言われますが、どのような仕組みで、どのように接続すると増幅するのかは、実際に試してみないと分からないところがあります。
 多くの電子工学の本は、これらの現象を数式や理屈で説明してしまうため、直感的に分かりやすいとは思えませんでした。
 この本では、基本的な回路とオシロスコープによるグラフによって、定年で柔らかい文体で解説が書かれています。
 「トランジスタ」は電子回路の基本原理のひとつです。
 電子工作を行なう上でも、これらのアナログ的な仕組みを知ることは大きな強みになり、その基礎を楽しく学べる一冊です。
某吉




脳をつくる―ロボット作りから生命を考える―

■共立出版 ■中野馨■A5判・248頁 ■3500円

 「ニューロ・コンピュータ」や「パーセプトロン」を中心に、知能を与える技術をまとめた入門書。
 本書の素晴らしい点は、難しくならない範囲で、動作の仕組みを数式や図で説明しており、読んでいて腑に落ちること。
 また、その理論を利用した実例も紹介。
 この本が発刊されたのは1995年。いまから20年以上も前ですが、内容は、まったく陳腐化していません。
 古い本なので、残念ながら入手は困難ですが、もし図書館などで見掛けたら、ぜひ読んでみてください。
 「ロボット」や「センサ」「学習装置」を作ってみたい人にとっては、いい実装アイデア集にもなるはずです。
大澤 文孝

脳をつくる―ロボット作りから生命を考える
中野 馨
共立出版
売り上げランキング: 653,871



こんなもんいかがっすかぁ まるごと!

■復刊ドットコム ■水玉螢之丞 ■B5変型判・256頁 ■3200円

 「こんなもんいかがっすかぁ」は、イラストレーターの水玉螢之丞さんがパソコン情報誌「EYE-COM」にて1990年ごろに連載していたイラストエッセイ。
 パソコンがヲタ…もとい熱心なユーザーの趣味のシロモノだった時代、彼女の描くポップで可愛いキャラクターが繰り広げるディープなパソコンネタ、そのギャップにとても惹きつけられました。
 当時を知る人には“クスッ”とくるネタが満載です。
 同連載は1992年および94年に書籍化されたものの長らく絶版状態でしたが、今年復刊され、入手が簡単になりました。
 94年版では省かれた初期作品や、多数の雑誌掲載イラストを新規収録しており、まさに「まるごと!」な一冊となっています。
Ka2DA

こんなもんいかがっすかぁ まるごと!
水玉 螢之丞
復刊ドットコム (2016-02-16)
売り上げランキング: 81,059



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